しゃべらないライアン

ライアンは 4才の男の子。おとなしい方だが、いつも男の友だちと遊んでいる元気な子だ。彼の友だちたちは たいてい決まっていて いつもレゴや Writing Tableで 雑誌を切り抜いたりして遊んでいる。友だちたちとは よく話し、騒いで たまに 注意されると 先生の言うことをすなおに聞くとても 賢い子供だ。

私は こんな 彼に 挑戦していることがある。それは、しゃべってくれない、ということ。ライアンは 子供同士では よく話し、会話も聞こえるが 私とは一度も 声を出してはなした事がない。しかし、嫌われているわけでもないようだ。それを証拠に 注意すると、指や表情をつかって 私に説明したり、話をよく聞いてくれる。ふてくされて逃げるーという事もなく、 片付け、というと 黙ってちゃんと 片付けを手伝ってくれる。よく観察してみると、彼は 親以外の大人、つまり担当の教師達とさえ 会話をしているのを 見たことがない。

彼が なぜ 大人としゃべらないのか 考えてみる。子供同士では しゃべる ということは、彼の耳や会話力に 問題がないことは 分かっている。彼は、大人を ひどく警戒しているのかもしれない。私は 悩んだ。どんなに 親しく接しても この1年 決して彼から 親しくしてくる事はなかった。彼には 問題はないのだ、私を含め大人に問題があるのだろうと 思い悩んだ。

ある時の Group Time。1人 1人 何か発言する時間があった。彼は こういう時 ほかの子と違って自分から 率先して手をあげるということは 決してしなかった。しかし、今回は 1人ずつなにか 質問に答え、答えた人から 園庭へ出る準備をしよう! というものだった。
「動物園では 何が好きかな?」と 先生は ライアンに聞く。黙って立っているライアン・・・。「ライオン 好き?」 先生は 彼の事が分かるから 自分から名前を挙げてみる。 あるクラスの子が 言った。「ライアンは シャイなんだよ。」

子供たちにとって、彼は 「シャイ」。子供たちは 彼が 大人と話さないことを知っていて、それを「シャイ」と判断したのだ。これも 彼の個性の一部だと 受け入れているのだ。子供たちはそんな 彼を 認めている、いいじゃないか、話さなくたって、それが ライアンなんだから。

大人から見ると、「しゃべらない」という事が問題になり、子供たちからみると、「それは 彼の個性」と受け入れている。そんなところに、大人と子供の みぞが あるのかもしれない。

今日も あいかわらず、私とは 話さないライアン。でも いいよね、それが 君の個性なんだから。



子供の名前は 仮名です。