今を生きる子ども達

3歳のカリ−ナが、イタリアへ引っ越すことになった。突然 イタリアなんて遠い所へ引っ越すことを聞かされて、私は最初 信じられなかった。カリ−ナのパパは 海軍人なので、次の任地が 遠いヨーロッパに決まり、2,3年は 向こうに家族全員で 移住するという。
「わたし、’いたりあ’へ行くの!」カリーナは嬉しそうに そう何度も繰り返した。

正直、控えめな笑顔が可愛らしいカリーナが クラスから居なくなるのは、とても寂しく思う。ただ、これから 未知の国で経験し、新しい人々と交流するであろう未来は、きっと 彼女の人生をより豊かにさせてくれるだろうと、期待も感じた。私が、米国という新地で、人生がより豊かになったように。

現代の子ども達は 実に複雑な環境の中で生きている。

大人しいジャックの家庭には、ママが2人いる。産みの母親と 男っぽいママと、3人で一緒に暮らしている。彼は、2人のことを マミーと呼び、2人のマミーはジャックに大きな愛情を注いでいるようだ。

明るくおしゃまなターシャには、再婚したママと新しいパパの大きな家に 大きな犬と一緒に住んでいる。ターシャのパパは サンディエゴに住んでいないので、定期的に1週間ほど、パパの家に行き、
パパとの時間を持っているようだ。ターシャには2人のダディがいる。姓は、今もパパの名字を名乗っているから 再婚したママとは 違う姓を持っている。

両親が離婚したルネは、普段はママとママのボーイフレンドの家で過ごしている。週2日ほど、パパの家へ行き、両親は交互にルネを見ているようだ。2つの家を持つ子供は、少なくなく、ルネもその中の1人だ。
ある朝、ママがルネを園へ送り、「今日は彼女の父親が迎えに来ますから。」と言って、仕事へ出かけた。お迎え予定の2時になっても 父親は来なかった。ルネは 心細くなり、私の後をついてまわる。
そして、とうとう私の勤務終了時間になっても父親は、現れなかった。
父親は、ルネを迎えにゆくことを忘れていた。
私は、園側から母親の方に連絡がいったことを確認すると、ルネを 遅番の先生に渡す。「ごめんね、ママがすぐ来るからね。」と、ルネに言う。彼女の泣き声が, 私の背中からずっと聞こえていた。
私は、心が痛かった。

色々な環境の下で、子ども達は 精いっぱい生きている。
色んな形の愛情をたっぷり受けながら、それぞれが、それぞれの形で、幸せに生きている。
きっと、ちいちゃな体に溢れるほどの愛情と、そして、あふれるほどの問題を抱えて、それでもハッピーに生きている。
あんなにちっちゃな体に、どれほどのパワーがあるのだろう?
色んなことを乗り越えて、子供なりに考えて、問題も寂しさもみーんなうけとめているんだ。

ねえ?
子供に出来て、大人の私たちに なぜ 出来ないの?
色んなストレスにヤケになって、愚痴こぼして 飲み歩く。
言いたいこと言わず、やりたいことやらずに、ぼんやり 毎日を過ごしている。
誰だって 幸せになりたいと思うのに、何もしないで不平を言う。
ねえ! 
もう少し頑張ってみようよ!
幸せは 自分次第。幸せは きっと それは 考え方。

「カリ−ナに会えなくなっちゃうなんて、寂しいなあー!」そう私が言うと、にっこりしながら 彼女が言った。
「大丈夫!’いたりあ’行くけど、あした 帰ってきて、そしたら、また学校に来るから、また会えるよ!」 
ブランコに乗りながら たかーく上がった彼女の言葉が、とても印象的だった。



父兄達が自分達の職業を紹介してくれてます。
今回は 看護婦のママが、未熟児の扱い方を教えてくれました。


写真と内容は関係ありません。子ども達の名前は、仮名です