子供は見ている
ある日、べべと近所を散歩していると「ハ〜イ!」とサムが声を掛けてきた。サムは近所の5歳の男の子。いつもべべをみると声を掛けてくれる。「サム 元気?」を声を掛けると、「うん、僕は大感謝祭の日にはおばあちゃんたちの家に行くんだ。飛行機のって行くんだ」と話す。サムはいつも他愛のないことを色々話してくれる。
「ママとパパとおねえちゃんと行くんだ。僕はママとパパと暮らしてるんだ。」などと言って来る。それは私も知っているが、子供はいつも特に意味のない会話をしたがるものだ。
そして、「ママとパパ、時々喧嘩するんだよ。」と私に言う。それも、落ち込んでいる、とか寂しいとかそういう風ではなく、「今朝はシリアル食べたんだ。」というような会話と同じ表情で話す。
「そうね、パパとママって時々喧嘩しちゃうものだよね。」と私が受け答えをする。
Yes,と言ってから、「じゃ〜ね ばーい」と手を振って家に帰ってしまった。子供は親が気づかれないと思っても、ちゃんと見ていて それをなにげに他人に話してしまう事が多々ある。
幼稚園でもある女の子は、大きな声で「私のママ この前の夜パンツ1枚で部屋を歩いていたのよ!」などと先生たちに言って来たことがあり、「ブッ!!」と飲んでた水が吹き出そうになったことがある。
それは、おそらく夫婦の夜の出来事ではなかったのだろうか?ママにとったら、大恥だったことだろう、まさかそんなことを子供が無邪気に皆に言っているとは!なかなか、子供というのは油断ができないものなのだ。
ある夜、べべが寝た後、私と彼はちょっとした口喧嘩になったことがあった。
それほどたいしたことではなかったのだが、そのまま話さず寝てしまい、朝になってもお互い口を聞かず、べべとだけ話していた。会社に行く前、彼は娘と私にキスをして行くのだが、当然その朝はお互いそんなことはせず、彼は娘にだけキスをして、「じゃあ行ってくるよ!グレグレ〜!」とドアを開けた。
すると、べべは「アンネ!アンネ!」とパパを見て叫び、ソファで寝ている私を指差す。「ババ、アンネにキスするの忘れているよ!」とその行動がモノを言っているのがよく分かった。
それでも彼は "No, that's OK."といって、出て行こうとすると、べべは「No!No!」と叫ぶ。どうしてもキスをして行って欲しいようだ。
私と彼は顔を見合わせて、"All Right!" と言い、「やっぱりべべの前では喧嘩しちゃいけないね。ごめんね。」と言って、3人でUnited(*1)になり、キスをして仲直りをした。
べべの前で喧嘩をしていたわけではないのに、やはり何か変!?と、感じとったようだ。こんなに小さいのに、ちゃんと見ているものなんだ、とつくづく思った。
そしてべべのおかげで、仲直りができたのだった。
そんなべべも来年春にはお姉ちゃんになる。
子供の名前は仮名です。
*1 「United」・・・べべはその小さな腕をいっぱい広げ、ママとパパの首にからませ、タックルのようにして抱き合うのが好きだ。時々これをやりたがる。私たちはこれを、Unitedと呼んでいる。