養子縁組

代理出産や養子縁組などが盛んなアメリカ。子どもが欲しくても恵まれない夫婦には、願っても無い制度だが、果たして 養子に貰う事は簡単なのだろうか?その辺の実情を説明してみようと思う。

私も教師をしていると、年に何組か養子として貰われてきた子どもを担当することがあるが、これだけ1つの園で多いのだからアメリカ全体ではかなりの数になるのだろうと思う。

養子縁組とフォスターペアレント (Foster Parent) の違いは、養子縁組が実の子同様、一生面倒みるのに対し、フォスターは一時的に 保護が必要な子ども (*1) を預かるということだ。フォスターペアレントというのは、大抵 自分達にも子どもがいるがボランティアで預かって世話したいという奉仕精神の強い夫婦が多い。フォスターペアレントを受け入れる団体に申し出れば、なれるようで、預かる期間というのは それぞれの子どもにより数日の場合や数年にわたるケースなどが見られる。

アメリカの場合、養子を貰う場合には大きな2つの理由に分かれられる。1つには、さっきも書いたように 子どもに恵まれない夫婦、そして2つ目には 養子として恵まれない環境の子をひきとって育てよう、という夫婦。

アメリカのセレブ(有名人)達の中にも2の理由で、自分達にも実の子がいるのに養子に何人か貰う人たちがかなりいる。トム・クルーズ元夫妻などが代表的な例であろう。
しかし、セレブがこんなにも簡単に養子をもらえるのに対し、一般的な家庭の夫婦は かなり待たされたりするのが現状だ。セレブたちが、沢山の しかも 白人やアメリカ内からの子どもを養子に貰えるのは、1つにその有名さと裕福さがある。

子どもを養子に貰うというのには、かなりのお金がかかり しかも白人アメリカ人からの子どもを貰うというのはかなり不可能に近い。人種で値段が決まってしまうというのは、法的にも人権的にも違法なのだが それが現実のようである。まず、白人アメリカ人自体の養子の数が極端に少ない。セレブたちが、白人を養子に引き取る事ができるのは、産みの親も「トムクルーズの子どもにしてほしい」など彼女らの要望もあると どこかで読んだ事がある。有名人の子どもなら 安心だ、というわけだ。

一般の家庭ではそんなことができるわけがなく、それでも5年以上10数年待ちやっと養子がやってくる、ということが多い。そして、その期間、かなりの予算とそして 夫婦や家庭に対する様々な調査が行われる。実際養子に貰った人たちなどと会ったり、クラスを取ったり 夫婦そろってやらなければいけない手続きがとても多いと聞く。

海外養子縁組も一般的で、白人家庭の夫婦は ロシアから子どもを引き取るケースが多い。同じ肌の色だから一番 養子とは分かりにくいのだろう。しかし これは アジア(中国、韓国 など)や 黒人などに比べると 高金額になる。色々な事情があってロシアから子ども達はやってくるのだろうが、大抵は乳児のまま やってくることが多いので、子供も ロシアでの記憶はまったくなく米国人として育てられる。

アジアやメキシコの子どもが金銭的にも一般的で、白人夫婦、アジア人夫婦、黒人夫婦など どの人種からも受け入れられている。白人夫婦が、黒人の子どもをもらったりすると いくら自分達が構わなくても 黒人の人たち、白人の人たちからの様々な感情があったりして 色々と勇気のいることなのだろう。アジアやメキシカンだと 顔つきがはっきり親とは違うのに、白人たちは「あまり(違いが)目立たない」と思うらしい。

海外であれ、国内であれ 養子になる子どもたちの多くは、家庭環境が複雑であることが多い。やはり、何らかの事情があり親が養育するのを諦めるわけだから無理もないが、レイプされて出来てしまった子、ドラッグを使用している母親、アルコール中毒、犯罪者など そればかりではないが、理由があり子どもはいらない、と養子に出すケースも少なくない。

だから 養子の子には、残念ながら発育が遅れていたり、障害者であったり、能力に問題が見られるケースも多く見られる。
だが、それでも 縁組をした夫婦たちは みな 愛情をもって自分の子どもとして育てている。どんな子であっても 「どうしても欲しかった」という友達の心は 私の心よりはるかに偉大だと思う。養子縁組は そんなに簡単なことではない。それが出来るのだから、そしてそんな愛情に育てられる子ども達は 何より幸せなのだろうと 思う。

養子縁組については、人種売買だといい顔をしない大人もいるが、私は どうしても子どもが欲しい夫婦がいて、そしてそんな子ども達を破棄する親がいるくらいなら 縁組制度はあってもいいのではないかと思う。

(*1) 保護が必要な子ども ・・・虐待を受けた子どもや親が養育を破棄したり、保護を出来ない何らかの理由がある場合など。残念ながら これらの中には ストリートキッズ(路上で生活する子どもたち)になる子ども達も少なくない。